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前進座『一万石の恋』 笑いを支える役者魂と裏方のこだわりを実感 音楽が最高

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行ってきました大牟田文化会館へ。11月23日(水・祝)勤労感謝の日によいものを見させていただきました。

10月21日より全国巡演の幕を開けた前進座創立90周年記念公演『一万石の恋 裏長屋騒動記 愛の仮名手本篇』が福岡県大牟田市にやって来たのです。しかも翌24日は福岡市で千秋楽というタイミングで。(『一万石の恋』福岡公演は11月24日(木)ももちパレス・大ホールにて)

前進座『一万石の恋』カーテンコール 大牟田文化会館にて

役者はもちろんながら音楽が最高

寅さんの『男はつらいよ』シリーズでおなじみ山田洋次監督の脚本とあって人情たっぷりな温かい笑いに溢れていました。

脚本を山田洋次・朱海青、演出を小野文隆が担当。パンフレットによると装置:中嶋正留)、照明:石島奈津子

音楽:中島千絵、ステージング:藤田善宏、効果:川名あき、舞台監督:中橋耕史、照明操作:鈴木啓子、音響操作:横山あさひ、舞台監督助手:小林楓とありました。

暗転でお城や長屋と設定が移り変わる時の気配や演者の登場と、流れる音楽がぴったり合っていてスタッフの皆さんも演者の役者魂と同じくプロ根性で取り組んでいるのだと感じたしだいです。

特に音楽は尺八や三味線、篠笛や琴をフィーチャーしながらサックスと絡めた愉快なアレンジと曲調に、次の展開がどうなるのかワクワクさせられました。

前進座の創立と歴史に感無量

大牟田公演実行委員長の矢野誠氏から「前進座はいつも夢と希望をあたえていただく劇団です」と紹介があり、ロビーではパネルで前進座の創立と歴史について知ることができました。

1931年(昭和6年)5月創立という歴史ある劇団で、当時の歌舞伎や演劇界の古い慣習から脱皮すべく設立されたそうです。創立総会では「本劇団はその収入によって座員の生活を保障しつつ、広汎な民衆の進歩的要求に適合する劇団の創造に努力する」「総会を最高決議機関として全座員によって構成する」という方針を掲げました。

普段はあまり舞台を見ないわたしですが、30年ほどまえに生協の企画で前進座の『怒る富士』を観劇した時は物語と迫力に「舞台ってこんなにすごいんだ」と胸を打たれたものです。今回はその歴史から劇団の芯にあるものを知って、なぜ強い存在感があるのか納得がいきました。

『一万石の恋』殿様役の河原崎國太郎

実行委員長の矢野氏も『一万石の恋』について「見どころはたくさんありますが、お殿様と長屋のおばあさんの二役・早変わりはぜひ見ていただきたい。すごいの一言です」と触れていましたが、想像以上の見応え。

二役を早変わりで演じるのが河原崎國太郎だと聞いていても、舞台に現れると同一人物とは分からないほどで、演技の妙を堪能させてもらえました。河原崎國太郎と言えば『東海道四谷怪談』でお岩役を演じていますが、やっぱり成りきり方がハンパないです。

※画像は『劇団前進座インスタグラムより』

もちろん他のキャストたちもそれぞれの役に成り切って楽しませてくれました。ヒロイン・お鶴役の有田佳代とお鶴と恋仲の錺職人清吉役・新村宗二郎が演じた初々しいカップルぶりも微笑ましかったです。

※トップ画像は『劇団前進座インスタグラムより』